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あ | か | さ | た | な | は | ま | や | ら | わ |
ガラスの製作過程や、性質など、ガラスに関する用語をまとめてみました。
みなさまの、お役に立てればと思います。
光の分散能の逆数で光学設計に用いられる数値。(nd-1)/(nF-nC)の式で定義される。
ここでnd、nF、nCはそれぞれヘリウムの587.6 nm,水素の486.l nm及び656.3 nmの輝線に対する屈折率である。
拡散係数や電気伝導度kの温度変化は、k = Aexp(−E/RT) で表わされる。ここで、Aは定数、
Eは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度である。
小さな泡からなるスポンジ状のガラス質の断熱材。
ガラス中のイオンが周囲の媒体(例えば溶融塩)中のイオンと置換する現象。この交換反応に関与する
代表的なイオンは、アルカリ金属イオンのような1価の陽イオンである。
イオン選択性電極(Ion Selective Electrode)のこと。pH測定用のガラス電極のほか、
Fイオン電極などの固定膜電極あるいは有機液膜型電極がある。特定のイオンに感応してイオン濃度に応じた電位を示す。
平面状のガラスを総称する用語。 磨き板ガラス、普通板ガラス、型板ガラス及び
フロート板ガラスを含む。板ガラスは、窓、自動車などの乗り物など様々なところで使用されている。 板ガラスには様々な成型方法がある。板ガラスの製造方法について、以下に記載する。
光の伝搬に関して、方向によってその伝わり方の異なるガラスで、
複数の屈折率を持つこととなる。
溶融体と結晶の初相の間の平衡温度で、その温度以上では結晶が存在しない。
熱的な影響で、ガラス中の応力が時間と共に低下する現象。
吸収端の光の波長をLとすると、Eg=hc/L で表わす光子のエネルギーEgをオプティカルギャップという。
光ファイバで、端面から光軸に向かう光の最大入射角(a)に関する数値でNAで表す。ファイバのコア及びクラッドの屈折率をそれぞれni、no (ni>no)とすると、niとnoの差が小さいときは NA = sin a =(2ni(ni-no))1/2 である。
穴開け、切削のような機械加工の容易なガラス。
ガラス表面が物理的にも化学的にもその性質を維持する性能を指し、長期間の水、薬品又は大気との接触の後、ガラス表面の物理的及び化学的変化、あるいは容器の内容物の変化に着目して評価する。
ガラス表面に特定の方法で傷をつけた後に測定したガラスの破壊強度。この値は実用強度として使われる。
ガラスの特性値Pの多くは、P = p1・a1 + p2・a2 .. + pn・an のように各成分のその特性に関する寄与率piとその成分の含有量aiの積の総和で表わすことができる。これを加成性という。含有量は質量%、質量含有率、 モル%、モル含有率などで表示され、a1 + b1.. + an = 100%又は1である。
昇温によりガラス転移現象を示す非晶質固体です。またそのような固体となる物質も指します。このような固体状態をガラス状態と言う。結晶と同程度の大きな剛性を持ち、粘性は極端に高い。非晶質でもゴム状態のように柔らかいものはガラスとは呼ばない。
ガラスには多くの種類があるが、その多くは可視光線に対して透明であり、硬くて薬品にも侵されにくく、表面が滑らかで汚れを落としやすい。このような特
性を利用して、窓ガラスや鏡、レンズ、食器(グラス)など市民生活及び産業分野において広く利用されている。近代以前でも装飾品や食器に広く利用されてい
た。また金属表面にガラス質の膜を作った「琺瑯(ほうろう)」も近代以前から知られてきた。
ガラスの表面に細かな凹凸を付けたすりガラスや内部に細かな多数の空孔を持つ発泡ガラスは、散乱のために不透明である。遷移金属や重金属の不純物を含むガラスは着色しており、色ガラスと呼ばれる。
ガラス繊維には、グラスファイバー(ガラス長繊維)とグラスウール(ガラス短繊維)の2種類がある。その2種類を以下に記載する。
通常Tgと称し、この温度を境にガラスが弾性体から粘弾性体に変化し、それはガラスの機械的又は熱的な性質の急激な変化の開始によって特徴づけられる。Tgは選んだ性質と測定法に依存する。熱膨張法及びDTAが代表的な測定法である。
ガラス転移点は非晶質固体材料にガラス転移が起きる温度であり、通常 Tg と記される。
固体の結晶を加熱してゆくと融点で液体に変わり始め、固体と液体が共存する間は温度が融点に維持され、固体が全て液体に変わると、またその温度が上昇し
てゆく。だが非晶質の固体を加熱した場合は、低温では結晶なみに堅く(剛性率が大きく)流動性がなかった(粘度が測定不可能なほど大きかった)固体が、あ
る狭い温度範囲で急速に剛性と粘度が低下し流動性が増す。このような温度がガラス転移点である。ガラス転移点より低温の非晶質状態をガラス状態といい、ガ
ラス転移点より高温では物質は液体またはゴム状態となる。ガラス転移点を持つ代表的な物質には、合成樹脂や天然ゴムなどの高分子、昔から知られたケイ酸塩
のガラスがある。
ガラスフリットとは、珪砂,長石,石灰等の天然原料や工業原料を配合し高温で熔解し、急冷したガラスのかけら(フレーク又は粉末)です。
ガラスコーティングのための基礎材料として、ホーロー製品はもとより各種グレーズ用、更にフリットの絶縁特性,耐食性,新素材への対応などの機能に特化
した電子材料用品にと、その活躍の範囲は想像以上の広がりを有しています。特に、低融点ガラスフリット・ガラスペーストは以下の特徴を有しています。
・低温-短時間封着が可能
・高い耐熱性
・被対象物に合わせた熱膨張係数
・接着強度が大きい
材料の切断、研削又は形状加工のような機械加工のし易さ。
溶融ガラスを竿先に巻き付け、ガラス成形型にガラスを供給する方法。種巻きともいう。
媒体中に入射する光および透過する光のエネルギーをそれぞれIo, I とするとき、
A = (I/Io) で表されるAを指す。
高い弾性率、剛性率をもちながら透明であるガラスは非常に有用な素材であるが、脆いため衝撃を受けると割れてしまうという致命的な欠点が存在する。そこで、ガラスが容易に割れないようにするために、表面を圧縮して破壊に対する抵抗性を高める方法が考案された。
強化ガラスはその表面が圧縮によって強化されているため、強化されていないガラスと較べて破壊に至る為の力は大きくなるが、圧縮層を超えて割れが進行す
ると、内部には逆に引っ張りの力が存在しているため、ガラス全体が瞬間的に破砕する。このため、強化ガラスが割れると粉々に割れる特徴があるが、これは割
れた時の安全性の点からするとむしろ好ましい特徴である。
一方、強化ガラスはその構造上、それを加工することが出来ないため、強化のプロセスは製品製造工程の最後で行われる特徴がある。
上記のような性質から、強化ガラスは自動車の窓などに広く利用されている。ただし、前面のウィンドシールドについては事故時に粉々に割れた強化ガラスが
運転者や助手席の乗員の眼球を直撃し失明する事故が多発したため合わせガラスとなっている。それでもバットでフルスィングしても割れない程度の強度を持っ
ている為、決して、よく言われるような歩行者保護の為ではない。
ガラスの破壊は引っ張り応力によって起こる。ガラスの破壊応力値は、製造方法や製造後の履歴の影響を受け、一義的には決まらない場合が多い。火作りの表面を持ったガラスの強度は非常に高い。
表面から内部に向かって特定のパターンの屈折率分布をもつガラス。
ガラスの熱膨張曲線で、曲線が最大のピークを示す温度。この値は熱膨張の損J定方法に依存する。この温度のことを軟化温度と称する人も多いが軟化点と混同しやすいので避けるべきである。
(1)ソーダ石灰ガラスを指す。これに対するものはフリントガラスである。
(2)クラウン法(大きなガラス中空球を回転して平板にする手吹き製法)で作った板ガラス。
(3)光学クラウンガラスの略。
亀裂のこと。チェックまたはビリと呼ばれるガラス表面の微細な亀裂に較べて深さが深いものを指す。
ワレと同義。
工芸作品やテーブルウェアに使われる無色で、透明性の高いガラス。
結晶化処理のためにガラスを熱処理する温度、又はDTA(示差熱分析)で測定した結晶化開始温度。
ガラスの定義のひとつは非晶質であることです。これに対して、結晶化ガラスはガラス中に微細な結晶粒子が析出したもので、全体としてはガラスではありませ
ん。しかし、ガラスから作られ、マトリックス(析出物以外の部分)がガラスであるのでこのように呼ばれております。例えて言えば、斑晶と石基からなる火山
岩と同じような構造というわけです。
ガラス作製時に失透と呼ばれる不良が発生することがあります。これは溶液の冷却工程における問題によって一部のガラス成分が結晶化し、粒界散乱によって
不透明になった現象です。結晶化ガラスは非晶質と結晶の微妙なバランスを支配する要因を制御することによって作製され、不透明なものだけでなく透明な結晶
化ガラスを作成することも可能です。通常は成型済みのガラスを再加熱し、一旦、結晶の核生成速度が最大になる温度に保持した後、結晶成長速度が最大となる
温度まで加熱します。こうすることで、作りやすく気泡の無い均一なセラミックとなる上、高温から冷却してきた場合よりも速く結晶化を進めることができま
す。
結晶化ガラスは低膨張、高耐熱、高絶縁性、強誘電性、化学的耐久性、耐機械強度に優れていることが特徴で、外観や耐熱耐火用途としての建材やインテリア
のほか、熱のかかる調理器具や食器などの身近な製品、天体望遠鏡、プロジェクター、通信用途の光学用部品、精密機器などの精度向上のために低膨張(ゼロ膨
張)が求められる部品に使用されております。
DTA(示差熱分析)で検知したガラス中の結晶が溶融を開始する温度。
光学ガラスは最初の機能性ガラスといえる。光学ガラスは19世紀にドイツで発展し、その発展に寄与したエルンスト・アッベ,オットー・ショット,カール・
ツァイスの名は余りにも有名である。現在の光学ガラスのカタログに、様々な種類のガラスが掲載されている。これだけ多種多様な物性値を持つ材料は他に見当
らないが、これは色収差を克服するために作り出されたものである。
プリズムで光が7色に分かれるのと同様、レンズを通過した光も僅かながら波長による光路の差が現れる(色収差)。この現象は屈折率が波長により異なるた
めで、この屈折率の波長依存性を分散と呼ぶ。カメラや望遠鏡などの設計では収差を抑えるため、屈折率や分散の異なる複数のレンズが組み合わされている。
屈折率が小さく、低分散の光学ガラスで、アッベ数が55.0以上、又はアッベ数が 50.0 to 55.0でかつ屈折率が1.60より大きいものを指す。
屈折率の大きい高分散の光学ガラスで、アッベ数が50.0以下のものか、又は屈折率が1.60以下でアッベ数が55.0以下のものを指す。
媒体中に入射する光および透過する光のエネルギーをそれぞれIo, I とするとき、D = -log(I/Io) で表されるDを指す。
1)高温で粘度の高いガラス。 2)軟化点の高いガラス。3)溶融の困難なガラス。
光弾性の手法で求めた光路差を応力に変換する定数で、ガラスの内部応力の測定に使われる。
‘アレニウスの式’参照。交流体積抵抗率は、R=Ro exp(E/RT)で表される。
溶融ガラスを押し出すもの。撹拌を兼ねた回転しながら上下動するものをゴビングスターラー、耐火煉瓦製の棒状のものをニードルと呼ぶ。
ガラス溶融炉の端部より流出する溶融ガラスを切断して作製するガラス塊。
複数のアルカリを含有するガラス。
特定のプロセスでガラスを成形するに適したガラスの表面温度の範囲。特定の成形プロセスを考慮しないならば、ガラス相互の比較のためガラスの粘度がほぼIE+3 から 1E+8 dPa-sであるような温度範囲を定義する。
ガラスの成形に適した温度として、ガラス相互を比較するため決めたもので、ガラスの粘度が1E+4 dPa-s であるような温度。
酸に溶け易い硝子、胃カメラのファイバー製造などに使われる。
化学蒸着の略語。気相の熱分解生成物を基板上に堆積させる方法。
ガラス溶融炉の端部より流出する溶融ガラスを切断してゴブを作製するためのハサミ。
失透とは、ガラスなどで、準安定のガラス状態から結晶化が進行し、多くの結晶核から成長した結晶粒の集合体へと変化すること。これによって、結晶の粒界で光を散乱して不透明になることから、この現象を失透という。
石英ガラスでは、失透の進行は、一般に高温になるほど促進され、雰囲気や石英ガラス表面の汚れにもよるが、ガラスの表面が白くなっていく。これは、ガラ
スの表面に付着したアルカリ金属(ナトリウムなど)や水分などの不純物が、ガラス網目を切断し、結合の再配列を促進し、クリストバライトの結晶になること
に起因する。
失透の発生温度は800℃であるとの報告事例もあるが、1000℃を超えて1200℃になると、失透はより促進される。また、失透領域の深さなどにもよるが、この状態でランプの点滅などのヒートサイクルが加わると、粒界にクラックが生じ、発光管の強度を低下させる。
ガラス粒またはガラス粉を成形し、融着したもの。
ガラスにとって、徐冷はとっても大事なことです。ガラスは、高温で溶融し成型したあと、徐々に温度を下げて 常温に戻します。その際、急激に冷やすとガラスの中に歪みが生じます。
それを避けるために、一定の温度カーブでガラスを徐冷して行きます。その際重要になるのは、
徐冷点と歪点です。徐冷点と歪点の定義は少しややこしいのですが、 簡単に言えば、徐冷点は、その温度以下ではガラスの歪みがなくならないという温度で、
歪点は、その温度以下では歪みは発生しないという温度です。徐冷点は板ガラス、びんガラスで 550℃ぐらい、鉛クリスタルガラスでは450℃ぐらい、硼珪酸ガラス(硬質ガラス)では550〜600℃ ぐらいです。また、歪点は徐冷点より30〜100℃ぐらい低くなります。
徐冷の際には、特に徐冷点から歪点までの間をゆっくりと温度を下げて行くことで、
ほぼ歪みの発生は防ぐことが出来ます。また、歪みの入ったガラスでも、このように再加熱/徐冷
することによって、歪みを除去することが出来ます。ガラス工場では通常、成型後、徐冷炉に入れて徐冷を行います。
ガラス中の残留応力が実用的な速度で除去できる温度範囲で、各種ガラス相互の比較のために、徐冷点とひずみ点で決まる温度範囲とされている。
この温度で、ガラスの内部応力は数分で実質的に緩和する。ガラス繊維の伸び速度又はガラスビームのたわみ速度の測定がこの温度の測定に使われる。この温度におけるガラスの粘度は、IE+13からE+13.5 dPa・sに相当し、その値は測定方法によって異なる。
溶融ガラス表面に浮いたカスのことで、シリカ成分の多い変質ガラスから成る。
静的な荷重を印加した状態で、時間経過と共にガラスの強度が低下する現象。
セルマイヤによる光の波長に対する屈折率分散の式で、n^2- 1= A1L^2/(L^2 - B1) + A2L^2/(L^2 - B2)+ A3L^2/(L^2
- B3) で表わされる。
ここでn 及び L は屈折率と光の波長、 Al,A2,A3,B1,B2, B3は定数。
特定の温度における熱膨張曲線の傾斜、又は特定の2点の温度における熱膨張の温度勾配。
溶融体が化学組成の異なる2液に分離する現象。
ゾルゲル法とは、一般的な意味でアルコキシド系ゾルを加熱などによりゲル状態とし、セラミックスなどを合成する化学操作のひとつである。
相の違いによりゾルやゲル・キセロゲルに変化するコロイドの性質を利用している。セラミックを作る際はこの方法によってできたゲルをさらに加熱・乾燥さ
せて製造する。その他ガラスを製造する際にもこの方法が用いられる。応用される用途が幅広く、最近では光触媒の原料である二酸化チタンの製造に応用されて
いる。 このゾルゲル法は機能性薄膜を作成する上での優位性は高いが、成形品であるブロック及びロッドを作成するには、不向きである。
ゾルをグル化して、乾燥後焼結して作ったガラス。金属アルコール化合物、溶剤及び触媒の混合物が代表的な出発物質である。
耐火物とは、1500℃ 以上の定形耐火物および最高使用温度が800℃ 以上の不定形耐火物、耐火モルタル並びに耐火断熱れんが(JIS R 2001)である。
‘やけ’に対する抵抗性
この方法は 薄い板硝子及びガラス管を生産するのに向いている。旭硝子が宇宙衛星の太陽電池のカバー硝子に0.05ミリ厚の硝子を供給したことで有名であ る。弊社では、管ガラスのみの製造を行っている。現在のところの一番大きな用途は、医療検査用,顕微鏡などのカバー硝子,タッチパネル等が主流となってい る。ダウンドローの特徴としては、溶融炉の下に設置してある、2つのロールにガラスをあてがい、引っ張る原理で直接、管ガラスもしくは、板ガラスを製造で きる。
無機多孔質材料とは多孔質ガラスや多孔質セラミックスのように内部に無数の微細な孔を有した無機材料であり、無機多孔質材料は有機系の多孔質材料に比べて以下のような特徴を有している。
(1)細孔径を数nm〜約10μmの間で制御可能であり、シャープな細孔分布を持つ
多孔体が得られる。
(2)骨格が酸化物からなるため耐熱性に優れ、種々の有機溶媒や酸の影響を受けず
微生物にも侵されない。
(3)機械的強度に優れ、反応容器内での寸法安定性が高い。
(4)表面修飾が容易である。
この特徴を生かして、無機多孔質材料は分離膜や触媒担体など多方面に応用されており、応用の一つに酵素・微生物等の固定化担体としてバイオテクノロジーへの応用も試みられている。
多孔質ガラスは1940年頃に米国の特殊ガラスメーカーであるコーニング社により開発された。この多孔質ガラスを高温で処理し、無孔化したものは96%
の高ケイ酸質で「バイコールガラス」の商標で知られており、多孔質ガラスは「バイコールガラス」の中間製品として得られたものであったが、均一な径の貫通
細孔を持ち、最大で数百m2/gの比表面積を持つことから、多孔体としての応用が研究されるようになった。多孔質ガラスの合成方法はガラスの相分離現象を
巧妙に利用している点で非常に興味深い。
上図はその工程を示しており、原料となるSiO2(ケイ砂),H3BO3(硼酸),Na2CO3(ソーダ灰)から通常の溶融プロセスによりNa2O-
B2O3-SiO2系ガラスを作製し(図1(a))、これを成形した後に数百℃で熱処理を行うと、ガラス内部でSiO2リッチ相とNa2O-B2O3リッ
チ相に数nmのスケールでスピノーダル分解による分相がおこる(図1(b))。この分相ガラスを酸溶液に浸漬すると、Na2O-B2O3相のみが酸で溶出
され、図1(c)のようにSiO2骨格を持つ多孔質ガラスが得られる。
この方法で得られる多孔質ガラスの細孔は表面から内部まで連結した貫通細孔であり、細孔径は熱処理条件により容易に制御できる。以上は基本的な工程であり、実際にはガラス組成や熱処理条件などメーカーによって種々の工夫が為されている。
堝一本当りの燃料効率は連帯窯に劣るが、堝一本ごとの温度調整ができる。
ガラス表面の微細な亀裂。ビリともいう。
溶融ガラスの成形工程で冷却時に生じるシワ状の欠点。湯ジワ、冷えジワともいう。
溶融ガラスを型または定盤に流し込んで作ったガラス。
‘アレニウスの式’参照。直流体積抵抗率Rは、R=Ro exp(E/RT) で表される。
アルカリ酸化物含有量が5%以下のガラス。
600℃ 以下で軟化流動するガラス。
示差熱分析法又は示差熱量計で求めた転移温度。
熱膨張曲線から求めた転移温度。
‘アレニウスの式’参照。電気伝導度Sは、S=So exp(-E/RT) で表される。
透過率とは、光学および分光法において、特定の波長の入射光が試料を通過する割合である。
ここで、I0 は入射光の放射発散度、I は試料を通過した光の放射発散度である。試料の透過率は百分率で示すこともある。
透過率は吸光度 A と次の関係にある。
あるいは、自然対数を使うと、次のようになる。この式とランベルト・ベールの法則から、透過率は次のようにも表せる。ここで α は吸収係数、x は経路長である。
光学材料では、表面(界面)で光が反射されるため、素材自体の透過率のことを内部透過率、界面をふくめた全体の透過率を外部透過率と呼ぶ。
周期的に変動する荷重を印加した状態で、時間経過と共にガラスの強度が低下する現象。
‘電気伝導度’と同じ。
多孔質ガラスに他成分をしみ込ませるか、イオンビーム処理のように他成分を表面から導入したガラス。
酸化鉛を24 質量%以上含むけい酸塩ガラス。ガラス器に使われ、重量感があり、
不純物の鉄分が少なくて(Fe2O3<0.003%t程度)、透明性が良く、
また屈折率が大きいのでカットすると輝きが著しい。
(1)通常のガラス材料のうち、軟化点の低いものあるいは熱膨張係数の大きなもの,又は溶融の容易なもの。ソーダ石灰ガラスが代表的。
(2)スクラッチによりきずのつきやすいガラス。
ガラス内部を通過するする光の透過率。表面の反射を考慮しない。
均一な直径のガラス繊維を特定の炉中に吊るし、一定速度で昇温するとき、ガラス繊維が自重で伸びる速度が特定の値になる温度。この温度のガラスの粘度は、通常lE+7.6
dPa・sに相当するが、その値はガラスの密度と表面張力によって変わる。リトルトン点ともいう。
屈伏点あるいはDTA軟化点のことを便宜的に軟化点と称することがあるので、注意が必要。
熱膨張率は、温度の上昇によって物体の長さ・体積が膨張する割合を、1K(℃)当たりで示したものである。熱膨張係数(ねつぼうちょうけいすう)と もいう。単位は
1/K である。温度の上昇に対応して長さが変化する割合を線膨張率(線膨張係数)といい、体積の変化する割合を体積膨張率という。線膨張率をα、体積膨張率をβ
とすると β=3α の関係がある。
儉=α・L・儺(儉:伸び、L:長さ、儺:温度上昇)
原子間の結合の強さで決まる物性値なので、材料の融点と相関がある。ある温度で体積変化を伴う相転移を起こす性質を利用して、使用温度領域で、線膨張が小さくなっている合金(アンバーまたはインバー合金)もある。
なお、熱膨張率の異なる材料を組合せて使う場合、温度変化による熱膨張率の違いから、熱応力が生じる。この熱応力により、材料にクラックなどが入って壊れることがあり、様々なものの故障原因となっている。
粘度(ねんど)は、流体のねばりの度合である。粘性率、粘性係数とも呼ぶ。厚さ h の液体を間にはさんだ面積 A の2枚の平板が、相対速度 U で運動する時、液体と板の間に発生する力 F は
(ニュートンの式) になる。
μを(動粘度と区別するために)絶対粘度という。量記号にはμのかわりにηを用いることもある。粘度μが一定の流体をニュートン流体と呼ぶ。
また、SI単位はPa・s(パスカル秒)である。CGS単位系ではP(ポアズ)が用いられた。
完全に気密封止したガラス部品。
基板上に形成したガラス質の薄層の被膜。
透過光又は反射光が特定の波長範囲の光になるように選択できる光学素子。
ヒーターという意味では、ガスなどの燃料を熱源として、熱を出すものも含まれていますが、電気を熱源とするヒーターに限っても、色々種類があります。その 中で、抵抗加熱で発熱し、外部を金属製のシースで保護した「シーズヒーター」は、使用できる範囲が広く、産業用・家庭用ともに多く使われています。 色々な電気ヒーターについて、以下に説明します。
抵抗加熱(ジュール熱による加熱) |
誘電加熱 |
マイクロ波加熱 |
誘導加熱 |
ヒートポンプ |
(1) 金属発熱体-1 (鉄-クロム-アルミ系) |
(2) 金属発熱体-2 (ニッケル-クロム系) |
(3) 高融点金属発熱体 (白金、モリブデン、タンタル、タングステン) |
(4) 非金属発熱体 (炭化珪素、モリブデン-シリサイト、カーボンなど) |
特性 | 裸発熱線 | シーズヒーター |
---|---|---|
寿命 | 発熱体が外気に触れているので、腐食ガスやほこりなど、雰囲気により短くなる | シースで発熱体が保護されているので、雰囲気にかかわらず長寿命。 |
発熱量 | 雰囲気により、発熱体が腐食して、発熱量が低下していく。 | 長時間しようしても、発熱量がほとんど変化しない。 |
絶縁性 | 絶縁されていないので、碍子などで、絶縁する必要がある。 | シースと発熱体が絶縁されているので、直接取付けることができる。 |
安全性 | 発熱体に水などがかかると、漏電する。 | 発熱体が露出していないので、漏電の心配がない。 |
取付け | 碍子で絶縁し、発熱体が他の部分に触れないようにする必要がある。 | シースが絶縁されていて、曲げ加工できるので、取付けることが容易。 |
成形工程における中間成型品のこと。
小粒のガラス中空球。
入射光強度に対する反射光強度の割合。ガラスに光が垂直入射する場合、p=(n-1)/(n+1)とするとき、
反射率はpの2乗で表わされる。但し、ガラスは表面処理してないものとする。
小粒の中実球。
物理蒸着の略語。真空蒸着やスパックリングが代表例。
その組成のバッチはガラス化しないことが実験的に確認された化学組成。
偏光子を利用した一方向のみ光が透過する光学部品。
光の連続吸収スペクトルにおいて、波長がこれより長くなると吸収率が急激に減少するようになる部分又はその端をいう。
入射光対する吸収光の割合Aで、それは次式で表わされる。A=(1−R-S-T)、ここでR は反射光の割合、S は散乱光の割合、またT は透過率である。
光線の方向振らすことのでき光学素子。
成型品の外側と内側の冷却速度の違いにより、部位によって収縮量に差が生じてできる凹み。
比重とは、ある物質の密度(単位体積あたり質量)と、基準となる標準物質の密度との比である。
通常、固体及び液体については水(温度を指定しない場合は4℃)、気体については、同温度、同圧力での空気を基準とする。
質量同士の比であるので無次元量となる。通常の水(内陸部)の約4℃での大気圧下の空気等が溶けていないときの密度は0.999972g/cm3で、ほ
とんど1.0g/cm3であるから、比重と密度の値は、CGS単位系で表すと,数値的にほぼ同じ値となる。また、比重が1よりも大きい物質は水に沈み、1
よりも小さい物質は水に浮く。 密度と比重は混同されやすいが、密度は質量を体積で割った量であり、比重は基準物質と比べた密度比であるという点で異なっ
たものである。よって、物質が水に浮く沈むというのは、密度よりも比重によっての方が判断しやすい。
この比重を測定するにあたり、当社では、アルキメデス法を用いての測定を行っている。アルキメデス法は物体の浮力を利用した測定法であり、水中での質量と水上での質量を求めることで比重を測定している。
この温度で、ガラスの内部応力は数時間で実質的に緩和する。この温度におけるガラスの粘度は、lE+14.5から1E+15 dPa・sに相当し、その値は測定方法によって異なる。
光学材料の波長別の光学定数を測定するための特性的な幅の狭い輝線スペクトル。各種元素の放電管の輝線スペクトルを光源として使用し、標準輝線の波長及びその名称は下表の通りである。
輝線名称:
|
t
|
s
|
r
|
C
|
C'
|
D
|
d
|
波長/nm
|
1013.98
|
852,11
|
706.52
|
656.27
|
643.85
|
589.24
|
587.56
|
光源
|
Hg v
|
Cs v
|
He v
|
H
|
Cd v
|
Na v
|
He
|
色
|
赤外
|
赤外
|
赤
|
赤
|
赤
|
黄
|
黄
|
輝線名称:
|
e
|
F
|
F'
|
g
|
h
|
i
|
|
波長/nm
|
546.07
|
486.13
|
479.99
|
435.83
|
404.66
|
365.01
|
|
光源
|
Hg v
|
H
|
Cd v
|
Hg v
|
Hg v
|
Hg v
|
|
色
|
緑
|
青
|
青
|
青
|
紫
|
紫外
|
多数の光ファイバを束ねて融着して断面を研磨たもので、画像の伝送が可能。
Vogel-Fulcher-Tammannの式の略。‘フルチャーの式’参照。
光に当たると着色し、暗所で色が消えるような現象。
‘フォトクロミスム’と同じ。
ガラスと他材料の複合体。
連続的に自由表面を形成して作った板ガラス。 例:フルコール板ガラス。
光の波長x及びyに対する屈折率をnx及びnyとするとき、Px,y = (nx-ny)/(nF-nC)で示されるPx,yを部分分散比という。ここで(nF-nC)は平均分散である。
予め成形されたモールド成形などの熱成形に用いられるガラスのこと。モールド成形では表面欠陥が少なく重量精度の高い球状のガラスが用いられる。
溶融して水中や空気中でし急冷し、次に粉砕又は摩砕して作った粉末ガラスで、絵付け用インク、ゆう薬及び封着に使われる。
(1)無色の透明性の良い鉛ガラス。
(2)光学ガラスでは光学フリントガラス参照。
(3)無色の透明性の良いソーダ石灰ガラスの名称で、びんガラス又はガラス器に用いられる。
フルチャーによれば、粘性と温度の関係は次の式で表わされる。Log(viscosity)=A+B/(T―To)、 ここで、Tは温度、A,B及びToは定数である。定数は3点のデータで決めることができる。ただし、徐冷温度域のデータは使うことはできない。
光の波長による屈折率の変化。
次の屈折率の分散式、n^2 =Ao + A1L^2 +A2L^-2+A3L^-4+A4L^-8+ A5L^-8 ここで n 及び L は屈折率と光の波長、 A0,Al,A2,A3,A4,及びA5は定数。
‘相分離’と同じ。
輝線F(587.6 nm)と輝線C(486.1 nm)に対する屈折率の差。(nF-nC)。
特定の方向の偏光のみが伝わる光ファイバ。
ガラスを分相、酸溶出又はイオン交換のように物理的化学的な処理によって変成してできたガラス材料。
放射性廃棄物中の放射性成分をガラス形成成分と混合し、その混合物を溶融して廃棄可能なガラス固化体とするプロセス。
ロール成形後、両面を研磨した板ガラス。
脈理とは、1つのレンズやプリズム内で、屈折率が不均一であることによって、透過光が「揺らいで」しまう現象を言います。屈折率が不均一な原因として、密度の違いや、成分の違いがあります。
脈理とは母体ガラスと屈折率を異にしたガラス質の線状または層状になっている部分をいいます。
型で成形したガラス。
モールド成形で作った非研磨ガラスレンズ、非球面レンズも成形可能。
ガラス表面が大気の侵食、通常は湿度の影響で劣化する現象。
ガラス原料を加熱して溶かすこと。ガラス原料は溶けていく過程で固液反応によりガラス化するため、この言葉が使われる。「溶融」の方が広い意味で使用さ れ、カレットガラスのみを溶かす場合は「溶融」を使う。「熔解」は当用漢字ではないので極力用いない。
ガラス質材料を酸処理して特定の成分が溶出した残りのガラス。
光の分散能の逆数で光学設計に用いられる数値。(nd-1)/(nF-nC)の式で定義される。ここでnd、nF、nCはそれぞれヘリウムの587.6 nm,水素の486.l nm及び656.3 nmの輝線に対する屈折率である。
ガラスバッチの溶融しやすさ。
ガラスに関連した無機質の高温の液体で、それが低温で固化したものは必ずしもガラスとはならないものもある。
ガラスの溶融が経済的な速度で進むような炉の温度範囲で、ガラスの粘度が1E1.5 to 1E2.5 dPa・sの範囲にある。ガラス相互の比較のため、1E+2 dPa・sの粘度の温度が特性点として定義されている。
‘軟化点’と同じ。
この方法は生産法と言うよりも二次加工の方法であるが ダウンドロー法は高度な溶解技術と設備が必要なため 現在存在している厚い硝子を (1mm,2mm)等を使い熱をかけながら横に引張り、硝子厚の薄い硝子を作る方法である。0.1、0.2、0.3等の硝子厚の板・極細の硝子管・無空棒の生産が可能である。用途は液晶ディスプレー・タッチパネル・胃カメラ用ファイバー等がある。
8~10本の堝を円型(又は扇型)に配置、その中央から加熱する窯。
単独窯に比べ、燃料効率が良い。
個別に堝の温度コントロールは、ほとんど出来ない。
炉の底からルツボを出し入れする為に、炉の中の熱が逃げにくい。