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Porous Galass

グラフェン膜を被覆したナノポーラスガラスの作製(東北大学)

ナノポーラスガラス(NPG)を構成している物質はシリカであるため、アルカリ性雰囲気に弱く、また電気伝導性を持たない。しかしながら、シリカ表面にグラフェン数層分の炭素膜を被覆すると、耐アルカリ性が向上し、更に導電性が付与される。すなわち、ナノポーラスガラスの元の細孔構造をそのまま活かしたまま、耐薬品性の優れた多孔性電極材料にすることができる

ここではCVD法を用いたNPGへのグラフェン被覆を紹介する。

1 NPGへの炭素被覆スキーム

シリカ表面は活性が低いため、通常のCVDでは炭素が付きにくい。そこでガラス表面に存在するシラノール基(Si-OH)にTMS基((CH3)3Si-)を修飾し、その後CVDすることで炭素被覆する手法を用いた(図1)。この方法ではSiラジカルは炭素形成のための触媒活性点として働き、ナノ細孔内での均一な炭素被覆が可能になる[1-3]

2 CVD前後のNPG基板試料の写真(a)及びC-NPG内部断面のSEM像(b)

作製した炭素被覆NPGの写真を図2(a)に示す。CVD後に炭素が被覆されたことで基板の色が黒くなっている。また、試料表面や内部断面をSEMで観察すると被覆前と同じようなナノポーラス構造が確認でき、炭素膜がナノ細孔の内部まで均一に被覆されていることが分かる。炭素膜の厚さはCVD条件によりグラフェン1〜10層分(0.3〜3.4 nm)の範囲で調製できる。このようにナノサイズの炭素膜で被覆することで、NPGの耐アルカリ性は向上し、更に導電助剤用のカーボンブラックと同様の導電率を持った多孔質電極としての利用が可能になる。

参考文献
[1] 特許第5665127号
[2] Yasuto Hoshikawa, Alberto Castro-Muniz, Hiroshi Komiyama, Takafumi Ishii, Takuji Yokoyama, Hironobu Nanbu, Takashi Kyotani, Carbon 67 (2014) 156-167.
[3] 干川康人、Alberto Castro-Muniz、京谷隆、セラミックス 52 (2017) 39-43.

内容に関する問い合わせ先 東北大学多元物質科学研究所 京谷 隆
http://www.tagen.tohoku.ac.jp/labo/kyotani/


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